愛媛川柳の礎を築いた前田伍健(1889~1960年)が松山空襲や当時の人々の暮らしぶりを描いた「戦災画記」が5日、愛媛県松山市上野町の県生涯学習センターで初公開された。県教育委員会生涯学習課の冨吉将平専門学芸員は「川柳人の伍健が体験し感じたことを記録しており、悲壮感にあふれているのではなく、何とか前を向いて歩こうという意思が感じられる」としている。
 伍健は高松市出身。伊予鉄道電気(現伊予鉄道)に勤める傍ら、愛媛川柳の第一人者として川柳普及に尽力した。野球拳創始者としても知られる。
 戦災画記は約60ページで、遺族が初公開した。松山空襲で自宅を全焼した伍健は、約1カ月露天生活を送った後に移った仮住まいで描き始めたとみられる。
 伍健の孫高橋道世さん(59)は「明るく、笑い飛ばす人柄を感じてもらいたい」と話している。企画展「前田伍健~野球拳を生んだ愛媛川柳界の巨匠~」は2016年3月13日まで。