西条で最後の黒河三陽一門展 未発表の遺作など66点
2015年8月に87歳で死去した書道家黒河三陽(本名・保利)さん=愛媛県西条市小松町大頭=の未発表の遺作や弟子の作品などを集めた展覧会が14日まで、西条市丹原町池田の佐伯記念館・郷土資料館で開かれている。黒河さんが主宰した書道グループ「向陽会」は存続するが、一門の作品展は今回が最後になるという。
向陽会などによると、黒河さんは1928年に中国遼寧省の大石橋付近で生まれ、小学校卒業後に両親の出身地の旧丹原町に移住。旧西条中学(現・西条高校)や松山語学専門学校(廃校)を経て、中学校の英語教諭になった。
書道は20代半ばに習い始め、40代半ばで向陽会を設立。中日友好協会道前地区の会長や顧問を務めるなどし、国際交流にも尽力した。2012年からは毎年4月に同館で一門展を開催。現在のメンバーは県内外の約20人で、今回は黒河さんを含む8人の書49点と雅印17点を展示している。
会場には、黒河さんが生まれ故郷を訪ねたいという思いを込めた自作の漢詩や、筆2本と濃淡の墨を使って立体的に仕上げた作品のほか、ビールの泡がジョッキからあふれ出る様子を書で表現したユニークな作品、黒河さんの遺品の筆などがずらりと並ぶ。