浄瑠璃語りの人生回顧 嶋太夫さん、松山で講演
愛媛ゆかりの著名人が講師を務めるふるさと大学「伊予塾」(実行委員会、愛媛新聞社主催)の第49回講座が16日、松山市河野別府の北条ふるさと館であった。同市(旧北条市)出身で、人形浄瑠璃文楽太夫の人間国宝、豊竹嶋太夫さん(84)=本名・村上五郎=が「浄瑠璃語りの人生」と題し、激動の太夫人生を振り返るとともに、素語りを披露した。
嶋太夫さんは1948年に10代豊竹若太夫さんに弟子入りし、68年に8代豊竹嶋太夫を襲名。94年には重要な場を語る最高位「切場語り」となり、2015年に人間国宝に認定された。
約200人が参加。講演では、太夫を志したきっかけから引退へ至った心境などを率直に語った。北条地域は人形浄瑠璃が盛んで、幼少から稽古を受けたという嶋太夫さん。15歳の時、プロの太夫の語りを聞き「びっくりして気が動転した。今までの浄瑠璃は何だったのか、大阪へ行かなければと思った」と振り返った。
今年2月に引退したが、現在も多くの弟子に稽古を付ける日々。「それだけ頼りにされているということだが、弟子より先に勉強しないといけないので、ほっとすることはない」と話し、会場の笑いを誘った。今後は「若い人の養成といい浄瑠璃が語れるよう、体に気を付けて頑張りたい」と締めくくった。