子規の初公開資料も 東京で特別展
東京都台東区根岸の子規庵で1日、糸瓜(へちま)忌特別展示「病子規、無聊(ぶりょう)ヲ愉(たの)シム」(子規庵保存会主催)が始まった。愛媛県の俳人正岡子規が親友の画家中村不折の画帳(絵32枚)に対する批評と絵に触発されて詠んだ33句を収めた「秋のはじめ賛評」の原資料が初めて一般公開された。30日まで。
賛評は、日清戦争に記者として従軍し帰国中に吐血した子規が、須磨保養院で療養中の1895(明治28)年8月に執筆した。保存会によると、賛評は講談社版「子規全集」に収録されているが、当時から原資料は行方不明だった。
保存会寄託資料の中から見つかり、所有者から公表の許可が出たため、今春から宇和島市出身で国文学者・神奈川大名誉教授の復本一郎氏が調査・研究した。
講談社版は賛評を「署名不詳」とし、講談社版が引用したアルス版「子規全集」も無著名で、子規が書いたかどうかはっきりしなかった。原資料には子規の雅号の一つ「子規子」の自筆署名があり「紛れもない子規の著作と明らかになった」(復本氏)。
また推敲(すいこう)の跡もあり「清水の舞台の上や秋の空」を「清水や舞台の上の秋の空」と全く違った趣の句に直すなど、子規が何を思い、どう変えたかが読み取れる。全集と文字が異なる箇所もあり、パネルで相違点や推敲の跡を説明している。