東京・六本木の国立新美術館で26日まで、公募展「第80回記念新制作展」(新制作協会主催)が開かれており、愛媛在住・出身の8人が彫刻、絵画、スペースデザイン(SD)の3部に新たな表現の可能性を模索する作品を出展している。
 新制作展は猪熊弦一郎や小磯良平らが結成した協会が1936年に始めた。今回は会員230人(7月末現在)が566人の1139点を審査。429人の作品を展示している。
 愛媛大大学院教育学研究科で美術教育を専修する烏谷ひかるさん(松山市)は、建築にまつわる作品が対象のSD部のミニアチュール部門(35センチ四方・高さ1メートル以内)に、砥部焼の磁土で作った「はじまりのかたち」を出展。「いきものの不思議さや巧妙さ、奥深さなどを形にしていくような表現を意識」し、つぼのように丸みを帯びた白磁の上部に、ミルクが飛び散る一瞬をとらえたような王冠状の突起をあしらった。
 会員で、自身もSD部に作品「Bonbori」を出展している染織家佐伯和子さん(松山市出身)はSD部の出展作品について「オブジェ的なものからタペストリーまで立体と平面が混在しており、ガラスや木材、和紙、紙などさまざまな素材を用いて新しい切り口を見いだしている」と解説し、鑑賞へいざなっている。
 そのほかの県関係の出展者は次の皆さん。
 【絵画】尾崎洋美(今治市)「間」▽兵頭信幸(宇和島市)「速贄」【彫刻】阿部誠一(今治市)「帽子のひげ男」▽新崎寛子(久万高原町出身)「渦動」【SD】福井一真(松山市)「Cubework#5」▽前田亮二(松山市出身)「ササナミ」