政府の国家戦略特区に指定されている愛媛県今治市と広島県などは26日、今治市上浦町盛で小型無人機「ドローン」を使って島しょ部の住民らに物資を届ける実証実験を行った。
 実験は、実証事業者として参加する情報通信企業「エネルギア・コミュニケーションズ」(エネコム、広島市)が、楽天のドローン配送サービス「そら楽」をベースに実施した。
 荷物受取場所(旧盛保育所)で住民がスマートフォンで野菜を注文すると、物資を搭載したドローンが直線距離で約660メートル離れた配送センター(盛浄化センター)を離陸。海上などを自動飛行し届けた。
 過疎高齢化が進む離島や山間部における買い物の利便性向上につながるとされ、注文役を務めた地元住民は「簡単で便利。実用化されたら使ってみたい」と話した。
 エネコムと楽天によると、空中からの画像を伝送する装置も搭載しており、位置や安全確認が可能。現時点で飛行距離は往復約7キロ、運べる荷物の重量は約2キロまで。ドローンの技術開発は進んでおり今後、距離の延長や積載重量の増加が期待できるとしている。
 特区指定で、画像伝送装置を空中で利用するために必要な特定実験試験無線局の免許交付が早期に受けられるなどのメリットがあるという。
 ドローンは、橋やダムなどのインフラ構造物点検、山林の植生情報確認にも活用される計画。今後、実証実験が行われる。
 今治市と広島県は2015年12月、地域限定で規制緩和される特区に指定。外国人創業活動促進、NPO法人の設立手続きの迅速化、雇用労働相談センター設置などを進めている。