「予防医学研究所」をうたう愛媛県松山市の民間施設が絡む医師法違反容疑事件を内偵していた県警生活環境課や京都府警などは1日、医師免許がない施設の所長が医療行為に当たる採血を行ったなどとして同法違反などの疑いで、施設や市内の健康食品販売会社、所長が関与する京都市内のクリニックなどを家宅捜索し、関係資料を押収した。
 所長は著書などで「医学博士」と自己紹介し、がんなどの病気や体の状態は血液分析によって詳細に分かると主張。サプリメントの成分を紹介するなど健康改善の情報提供をしていると説明している。依頼者自身に血液を採取してもらって分析しているとの記述があるが、県警は所長が採血を行った疑いがあるとみている。
 クリニックや関連会社のホームページでは、へその緒と胎盤の中に含まれる血液「臍帯(さいたい)血」を利用する治療を紹介するなどしており、県警などは、クリニックの治療状況に法令違反がなかったかも調べる。
 松山市の施設には1日午前7時ごろ捜査員約10人が到着。家宅捜索は12時間以上に及んだ。京都市のクリニックでは午後3時すぎ、捜索を終えた捜査員が押収書類を運び出した。
 法人登記によると、所長が代表取締役を務める健康食品販売会社は1989年設立。業務内容には、企業経営コンサルタントや化粧品、医薬部外品などの販売企画、医療機器販売などがある。