愛媛県今治市の産婦人科診療所で出産直後の女性2人が死亡するなど医療事故が相次ぎ、日本産婦人科医会が改善のために指導したことが12日、分かった。医会は開業医などで構成する専門団体で、医療機関への直接指導は初めて。診療所は来年3月で出産の扱いをやめるとしている。
 出産直後の女性2人が死亡するなど医療事故が相次ぎ、日本産婦人科医会から改善を指導された今治市内の産婦人科診療所の医師は12日、所内で会見し「死亡事故が多いと自分でも正直思う。申し訳ない気持ちを忘れたことはない」と心境を語った。
 確認されている事故4件について、医会に報告したのは2015年の死亡事故のみとし「12年の死亡事故は当時は報告義務がなく、ほか2件は死亡ではなかったから」と強調。4件以外の重大事故については「出産に関わるものはないが、08年ごろに60代の女性が子宮筋腫の手術後に出血性ショックで死亡したことはある」と述べた。
 2件の死亡事故について12年のケースは「急な出血で、輸血して血圧を安定させ、いい状態で別の病院に搬送しようとした。最善を尽くしたが、医会からは、すぐ搬送すればよかったのではないかと指摘された」と説明。15年のケースは「トータルの出血量は多くなく、どうすれば防げたか本当に分からない」と主張した。
 重大事故が続いていることに「計り知れない悲しみを家族に負わせてしまった」とコメント。「開業医は普通分娩(ぶんべん)のみ扱い、帝王切開は高次病院に任せるような流れがあるが、うちは対応が遅れた」としながらも、マンパワー不足ではないかとの指摘には「一人で診療していたから対応できなかったということはない」と否定した。