福田辰男、通称「福ちゃん」(大島美幸)は、おんぼろアパート「福福荘」に住む塗装工。上京後、ずっと福福荘に住み、同じ仕事を続けてきた。昼間は仕事で汗を流し、夜はアパートの住人どうしのトラブルを仲裁、休日には河原で自作の凧をあげる、福ちゃんはそんな毎日を送っている。

誰にでも分け隔てなく親切をふりまく人気者の福ちゃんだが、女性が大の苦手。それを心配した親友で仕事仲間のシマッチ(荒川良々)は、妻の良美(黒川芽以)から克子(山田真歩)を紹介してもらい、ふたりをくっつけようと画策したシマッチは、デートとしてピクニックを提案するが、なんと福ちゃんはアパートの住人の馬淵(芹澤興人)、野々下(飯田あさと)をそこに連れてきてしまう。無邪気に彼らと遊ぶ福ちゃんをみて、落ち込む克子。シマッチと良美は福ちゃんのフォローをするも、克子は「心に深い闇を抱えている人だと思う」と言い、一人で帰ってしまう。

そんなある日、福福荘を見知らぬ女性が訪ねてくる。その名を聞き、驚く福ちゃん。それは久しぶりに会う中学時代の初恋の人・千穂(水川あさみ)だった。千穂は実は、福ちゃんが女性を苦手になる原因をつくった張本人だった。過去のことについて謝りに来たという千穂を福ちゃんは思わず追い返してしまうが、冷たくしきれず「謝ってもらわないよりは、謝ってもらうほうがいいよ。」と焼き芋を渡す。

カメラマン修行中の千穂は福ちゃんに頼み込み、福ちゃんをモデルに写真を撮り始める。慣れない撮影に戸惑っていた福ちゃんだったが、徐々に笑顔を見せるようになっていく。千穂の撮影に巻き込まれていくうちに、再び千穂への想いを募らせる福ちゃん。シマッチはそんな福ちゃんを見かねて千穂を呼び出し「あいつの気持ちを受け止める気がないなら、これ以上誤解させるようなことはしないでほしい」と告げる。

悩む千穂の元に福ちゃんをとった写真を、写真集として出版することが決定したという一報が届く。お祝いムードに包まれる福ちゃんたちだったが、写真集『福福荘の福ちゃん』の出版記念パーティーで思わぬ事件が起こり・・・