モンタナ州のパイオニア山地の谷間にある広々とした牧場に、ポツンと立つ一軒の赤い家。その家に暮らす10歳の少年スピヴェットは、天才的な頭脳の持ち主。しかし、時代遅れなカウボーイの父と昆虫の研究に夢中な母、アイドルになりたい姉という家族に、その才能を理解してもらえない。さらに射撃や投げ縄が得意なことで父から溺愛されていたスピヴェットの双子の弟レイトンを、銃の事故で失ってしまったことで、家族は心に空いた大きな穴をどうすることもできずにいた。そんなある日、スミソニアン学術協会から、スピヴェットが発明した磁気車輪が、栄えあるベアード賞を受賞したという知らせが届く。双子の弟の代わりになることもできず、天才的な頭脳も田舎ではいかせないために、家でも学校でも孤独だったスピヴェットは、家族に内緒で家出をして授賞式へ出席することを決意する。数々の困難を乗り越えて授賞式に出席したスピヴェットは、受賞スピーチである重大な〈真実〉を明かそうとするが……。