古里の偉人を後世に伝えたい―。愛媛県北宇和郡喜佐方村(現宇和島市吉田町)で生まれ、「海運王」と呼ばれた山下亀三郎(1867~1944年)の生誕150年を前にこのほど、宇和島市出身の宮本しげるさん(67)=千葉県白井市=が、功績を伝える「トランパー 伊予吉田の海運偉人伝」を出版した。
 亀三郎は1903年に海運業へ進出し、11年に山下汽船合名会社を設立。第1次世界大戦後には世界各地に支店を置くなど、業界トップクラスの会社に成長させた。築いた富を投じて山下実科高等女学校(現吉田高校)を創立したほか、奥南運河や喜佐方トンネルの建設などインフラ整備も手掛け、吉田地域の発展に寄与した。
 宮本さんは吉田高を卒業し海運会社に就職。同郷で同じ業種の巨星に縁を感じ本を出そうと決心した。参考文献や資料などを探すのに苦労したが、地元の人の協力を得ながら関係者に取材を重ね約2年かけ書き上げた。