生活保護の手前のセーフティーネット(安全網)として2015年4月に始まった生活困窮者自立支援制度。厚生労働省は相談件数「10万人当たり月20件」の目標を掲げているが、同省のまとめによると、愛媛県内は16年1月までの月平均で10.8件と目標の約半数にとどまっている。全国平均は14.7件。目標を上回ったのは高知、大阪、沖縄、大分の4府県だけだった。
 愛媛県などの説明では、自立支援制度による自治体の相談業務は、住宅確保や就労準備など個別の支援への「入り口」の役割を果たす。愛媛県内9町の実施主体である県は、各町の社会福祉協議会に委託して町単位で相談業務を行っており、11市では相談窓口を市社協へ委託したり、直営で設置したりしている。
 窓口では支援員が対応し、生活保護申請や関係機関につなぐなどしている。生活費などの家計、病気・障害、就労に関する相談が多いという。
 直近のデータである2月でみると、県内の新規相談受付は1677件で、10万人当たり月10.6件。実施主体別では東温市(26.9件)が唯一、国の目標を超えている。最も少ないのは宇和島市(4.4件)で、新居浜市(4.7件)、西条市(4.8件)と続き、5市で10件に達していない。
 県は生活困窮者自立支援制度について「開始から1年を経過したばかりで評価は難しいが、生活保護制度と連携して緊急性や個別の課題に応じ適切に相談支援が実施されている」としている。