がん治療に再生医療 松山出身金子准教授講演
愛媛CATV開局25周年と愛媛新聞創刊140周年記念の特別講演会が16日、愛媛県松山市大手町1丁目の愛媛新聞社であり、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した新しいがんの治療法について研究する京都大iPS細胞研究所の金子新准教授(45)=松山市出身=が講演した。市民ら約100人を前に「将来的にはがんの治療法に再生医療も含まれていくだろう」などと語った。要旨を紹介する。
従来、がんの治療は手術、抗がん剤、放射線が主流だったが、免疫反応をうまく活用した新しい治療法が確立されつつある。免疫は「感染症から身を守るためのシステム」として発達してきたが、最近がんに対抗する免疫力の存在が科学的に立証されてきた。
2007年に京都大の山中伸弥教授が報告したiPS細胞は、自分の細胞に三つから四つの遺伝子を入れることで簡単に作ることができ、どんな細胞にも分化する。患者の治療に加えて、病気の成り立ちの調査や治療薬の効果測定にも活用できる。人には自分と他人を区別する「HLA組織型」があるが、自分の細胞から作れるため不適合の心配もない。
世界で初めてiPS細胞が使われた網膜色素変性症の治療に続き、神経や心筋を覆うシートの生成などさまざまな研究が進んでいる。おそらく1~2年の間に、いくつかが患者の治療に活用されていくだろう。