愛媛県四国中央市富郷町津根山のてらの湖畔広場にある「細川家住宅」で27日、かやぶき屋根の全面ふき替え工事の見学会があった。河原デザイン・アート専門学校(松山市)で建築を学ぶ学生や県古民家再生協会(同)の会員、地元住民ら約20人が、伝統的な古民家の建築技術に触れた。
 同住宅は嶺南地方の旅寵(はたご)を兼ねた農家で、1882年建築の木造平屋建て。富郷ダム建設で水没することに伴い、1990年に移築された。屋根にコケが生え雨漏りするなど傷みが激しかったため、市が総事業費4281万円を見込み、初となる全面ふき替え工事をしている。
 見学会は市教育委員会が主催。かやぶき職人の大野沙織さん(28)=京都府南丹市、松山市出身=らが案内した。大野さんは、熊本県阿蘇地方産のススキを直径30センチ前後に束ねたものを約4000本使うと説明。「ふき替えは裁縫のように麻縄で編んでいく作業がメイン」とし、雨漏りを防ぎ、軒先から水が落ちるように敷く仕組みなどを解説した。