有識者でつくる厚生労働省の先進医療会議は4日、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市住吉町2丁目)が、一部保険適用となる先進医療の指定を目指し臨床研究を進めてきた「病気腎(修復腎)移植」について、安全性や倫理的問題などを25日の先進医療技術審査部会で審議することを決めた。
 病院は2011年に病気腎移植の先進医療指定を申請したが、厚労省の専門家会議が12年に「医学的、倫理的な問題が多い」との理由で認めなかった。病院はその後も指摘を踏まえた臨床研究を続け、再申請。厚労省によると、申請は今年6月29日付で受理された。
 申請によると、日本臓器移植ネットワークには腎移植を希望する腎不全患者が1万人以上登録しているが、移植までの平均待機期間が12年9カ月と長く、移植臓器不足は明らかと主張。病院の先行研究12例でも病気腎移植後の数値は健全な腎臓の移植に見劣りせず、最長5年10カ月経過しても腎がんの発生転移は認められないため、腎移植を希望する患者には有益とした。効果として、透析からの解放やQOL(生活の質)向上、待機期間の3年程度への短縮を挙げた。
 具体的な移植手順として、病気腎移植を希望する腎不全患者を登録。病気腎の摘出を希望する患者から腎提供の意思が確認できた場合、登録者の中から公平に移植者を選ぶとした。
 先進医療に指定されると、手術代などを除く入院費や投薬費などに保険が適用される。先進医療には7月1日現在で100種類が指定されている。