文部科学省が9月に結果を公表した2016年度全国学力・学習状況調査の質問紙調査で、愛媛の小中学生は計画を立てて家庭学習に取り組む自主性が高まっている傾向が浮き彫りになった。各校は家庭学習の手引や自主学習ノートを導入し学習習慣を身に付けさせるなど工夫を凝らしている。
 「社会科の復習で大事な言葉を赤色で書いたり蛍光ペンで囲んだりしたよ」
 松山市宮前小学校(祓川1丁目)の6年生の教室。児童らは毎日、取り組んでいる自主学習ノートを広げ見せ合う。5、6年生の全員がノートを作って漢字の練習や計算、授業の予習や復習に加え興味のあることを調べている。
 その一人、女子児童(12)は「リオ五輪の体操男子団体の金メダルに感動して新聞記事の感想を書いた」と話題のニュースに反応。芝田真次校長は「調べる楽しさ、学ぶ楽しさを実感することで将来にわたって必要な学習習慣が身に付く」と意義を語る。
 文科省の調査によると、「家で自分で計画を立てて勉強しているか」の質問に「している」「どちらかといえばしている」と答えた県内の小学6年生は64.4%(全国平均62.2%)。08年度と比較すると12.7ポイント上昇した。中学3年生は47.3%で全国を1.1ポイント下回ったが、08年度からは14.9ポイント伸びた。
 平日の学校以外での勉強時間が「3時間以上」の小学生は8.6%(全国10.8%)だったが、「2時間以上」を合わせると26.5%となり、全国を1.0ポイント上回った。中学生は「2時間以上」と「3時間以上」の合計が32.6%(全国34.2%)だった。
 学習習慣の定着には保護者の意識も鍵を握るとして県内の学校では、家庭学習の手引を児童・生徒や保護者に配布。学習時間の目安を示すほか、落ち着いて学習できる環境づくりなどについて家庭で話し合うよう促している。
 手引を毎月発行している松山市さくら小(余戸中4丁目)は自主学習の時間と併せて、早寝・早起きや朝ごはんを食べているかといった生活習慣を保護者に確認してもらい、紙上で現状を報告。学力向上推進主任の藤原利子教諭は「授業で学力をつけさせるのが大前提だが、学習の習慣化には家庭での過ごし方も影響する。子どもたちの勉強や生活の課題について保護者に意識してもらう機会にしたい」と話している。