紙産業技術の未来探る 四国中央でシンポ
愛媛大紙産業イノベーションセンター(愛媛県四国中央市妻鳥町)主催のシンポジウムが27日、市内のホテルであった。企業や行政、大学関係者ら約180人が、人工知能(AI)などの技術革新がもたらす社会への影響とともに、産業や企業の成長につなげる方策などを考えた。
センター客員教授で経済産業省産業技術政策課長の渡辺政嘉氏が「第四次産業革命」と題し、同省が4月に公表した「新産業構造ビジョン」中間整理について解説。近年の技術革新に関し、あらゆる機器がネットワークにつながる「モノのインターネット(IoT)」、ビッグデータ、AI、ロボットなどが基盤になるとして、「産業構造や就業構造が劇的に変わる可能性がある」と展望した。
紙産業については「毎年紙の需要が減る中、技術革新を生かして新たな領域へ踏み出し、どう構造転換していくかが問われている」と述べた。
センターの深堀秀史准教授は、水中に含まれる医薬品の化学物質を除去するため、抄紙(しょうし)技術を用いて機能シートを開発したと発表。伊佐亜希子助教は、紙の製造過程で発生する製紙スラッジ焼却灰を使った塗工紙で果実袋を作り、内部の温度を抑制する効果が得られたと説明した。