市民が伝統芸能に親しむ第32回松山市民能が3日、愛媛県松山市道後湯之町の大和屋本店能楽堂であった。金剛流シテ方能楽師宇高通成さん(京都市)が「俊寛」を演じ、約150人を魅了した。
 「俊寛」は平安末期の僧の悲劇を描いた演目。宇高さんは、島で流人生活を共に送っていた2人の同志が大赦で島を離れることになり、島に残される俊寛の絶望や焦燥を、繊細な所作と声色で表現した。
 市民能は、松山藩お抱え能役者の子孫でもある宇高さんを中心に毎年開催。宇高さんらが指導する「まつやま能楽こども教室」に通う小中学生ら約30人による、素謡や仕舞などの披露もあった。