道路のコンクリート擁壁にびっしりと生えたコケがキャンバスに―。伊方町瀬戸地域の町道沿いに、緑色のコケを削ったアートがある。手作り雑貨の移動販売を手掛ける伊方町大江の井上葉月さん(34)が友人らと独特の世界観を描き、「苔(こけ)物語」としてにぎわいを創出している。
 八幡浜方面から国道197号を進み、道の駅「瀬戸農業公園」近くの堀切大橋を渡った直後に右折。約850メートル進むと、左手に高さ3メートルほどの巨大なカメが現れた。カメを追いかけるアリの行列に大きなタンポポ。まるで自分が小さくなったかのような「ちっちゃな世界」が広がる。
 さらに約650メートル離れた壁面では、猫がパーティーを開いている「ねこの世界」。隣にはタコや海藻、竜宮城などを描いた「海のなかの世界」を展開している。
 「毎日のように車で通る道の壁面が大きなキャンバスに見えた」と井上さん。道路を管理する町の了解を得て、2015年12月末に制作をスタートした。