女性の姿を刻んだとされる線刻礫(せんこくれき、通称・女神石)や国内最古の埋葬犬骨が出土した愛媛県久万高原町上黒岩の国史跡「上黒岩岩陰遺跡」の整備活用を検討する実行委員会が28日設立され、美川農村環境改善センター(同町上黒岩)で初会合があった。高野宗城町長は「(遺跡活用は)町にとって重要な問題。前向きに進めていきたい」としている。
 委員会は町議や県内外の研究者ら13人で構成。「女神の里帰りプロジェクト委員会」と名称を決め、会長に高野町長、委員長に高橋末広町議会議長を選出した。
 同プロジェクトでは、同遺跡を中核とした町づくりを目的に、全国に散逸している出土資料の集約や保管体制の整備を進める。出土資料の将来的な国の重要文化財(重文)指定も視野に、教育や観光などにも生かす方針。
 同町によると、同遺跡の出土資料はこれまで重文の候補に挙がっていたが、調査報告書の発刊や学芸員の配置もされておらず指定に至らなかった。2015年までにこの2点はクリアし、現在は空調や湿度管理など資料を安全に保管できる場所の確保が課題となっている。