晩かん「清見」の貯蔵中の傷みを防ぐため、適度に呼吸させながら水分の蒸散を抑える最適な包装方法を導き出す計算式を実験で裏付けたとして、愛媛大農学部の疋田慶夫教授(63)=流通工学=らが日本食品保蔵科学会誌掲載の優秀作に贈られる「論文賞」を受賞した。貯蔵技術改善で日持ちがよくなれば、生産者は販売価格の有利な時期に出荷できる。疋田教授は県内主産地のJA西宇和三崎出張所(伊方町三崎)と連携し、実用化を目指している。
 疋田教授や同JAなどによると、清見は貯蔵中に「こはん症」という果皮障害を起こしやすく、発症すると茶色に変色して商品価値が著しく低下する。蒸散が原因で、農家や選果場では呼吸などができるよう穴を開けたフィルムで清見を包み、蒸散をできるだけ防いできた。
 温度や湿度が一定条件下での研究は従来もあったが、外気温や湿度により呼吸や蒸散の量は変動する。環境に合う包装を求めようと、疋田教授は外気温や湿度の時間変化、フィルム素材の性質、清見の呼吸速度などの数値を使い、フィルムの最適な厚さや穴の数をコンピューターで求める計算式を考案した。