愛媛CATV開局25周年と愛媛新聞創刊140周年記念の特別講演会が16日、松山市大手町1丁目の愛媛新聞社であり、京都大iPS細胞研究所の金子新准教授(45)=松山市出身=が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を活用したがん治療について解説した。
 金子氏は、東京大医科学研究所などで白血病や悪性リンパ腫の治療などの研究に当たり、2012年から現職。iPS細胞技術を用いたがんや感染症の治療法の研究開発に取り組んでいる。
 金子氏は講演で、体内に入ったウイルスなど病原菌と戦う免疫細胞の中で「Tリンパ球」は優れた攻撃力とセンサーを持ち、がん細胞とも戦えると紹介。自分の細胞に由来するがん細胞を「敵」と認識するTリンパ球は少ないことに加え、次第に弱るため、がん細胞への免疫反応は弱く、がん治療へは「若いTリンパ球をいかに増やすかが課題だった」と説明した。
 無限に増やすことができ、どんな細胞にも分化できるiPS細胞が発見されたと聞いた金子氏は「強力なツールになる」と直感。研究でiPS細胞からTリンパ球を作ることに成功し、これまでの実験では、さまざまながん細胞に対して効果を示したと述べた。
 講演は市民ら約100人が聴講。会場から実用化の時期について質問があり、金子氏は「私の見込みだが3~4年。実際に人体に入れていいものに仕上げる必要がある」と話した。