子どもの健やかな成長を願う「子泣かし天狗(てんぐ)祭」が8日、愛媛県鬼北町近永の広見体育センターであった。薄暗く不気味な雰囲気に仕上げられた会場には、天狗に抱かれて泣きじゃくる幼児の大きな声が響きわたった。
 地元の太鼓集団「魁(さきがけ)」の結成を機に、魁と町が毎年開催し27回目。鬼が城の山奥に住む天狗が、太鼓の音に誘われて年に1度だけ里に下りてくる設定。天狗は子どもと遊ぼうとするが、反対に泣かせてしまい、おわびに神通力で子どもの幸せと健康を祈る、という内容になっている。
 今回は、2015年に生まれた町内外の1歳児70人が参加。太鼓の音が鳴り響く中、天狗に名前を呼ばれて抱きかかえられた子どもたちは、手足をばたつかせて泣き叫んでいた。中には、天狗に「バイバイ」と手を振るつわものもいた。