カンボジアに楽器を JICA職員が募集 「子どもの学び支援を」
カンボジアで青少年に楽器演奏を指導している国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員・渡辺吉子さん(32)=愛媛県愛南町出身=が、現地のマーチングバンドのためにトロンボーンとユーフォニアム各2本、チューバ1本の計5本を募っている。「眠っている楽器が近くにあれば、学ぶ意欲のある子どもたちに譲って」と呼び掛けている。
子どものころから世界への興味が強かった渡辺さんは、恩師らに恵まれた経緯も手伝って青少年育成を支援する役割を果たしたいと、教員になった後、青年海外協力隊に応募した。
2015年9月から2年間の任期で、首都プノンペンを囲むように広がっているカンダル州の州都タクマウ市に赴任。州の教育局から要請を受け、中高生を中心とした約30人の「カンダル・マーチングバンド」を指導している。トランペットや鍵盤ハーモニカ、パーカッションを使って練習に励んでいるが、教育局は高価な中低音楽器を購入する予算がなく、厚みのある演奏が生み出せないという。
渡辺さんは「愛南町の中学や高校の吹奏楽部には楽器があり音楽の先生がいて、たくさんの人が支えてくれた」と感謝。そして「カンボジアには日本の『当たり前』がまだない中、エネルギーに満ちている子どもたちに、自分がふるさとで得た学びのバトンをつなぎたい」と心に決めている。
楽器は、渡辺さんからの支援要請で県青年海外協力隊を育てる会が11月末まで募集。寄付してくれる人を訪ねて譲り受け、17年1月に届ける予定だ。問い合わせは同会の中田圭一事務局長=携帯電話090(8973)5220。