人とイノシシの攻防を物語る「シシ垣」をテーマにした「第8回シシ垣サミットin愛媛」が、松山市文京町の愛媛大で開かれた。県内外の事例報告やディスカッションがあり、市民ら約100人がシシ垣の歴史や現状を学んだ。
 「小豆島の猪鹿垣を考える会」の奥田政喜さんは、香川県小豆島に残るシシ垣を映像とともに紹介。営々と築かれたシシ垣は明治時代に疫病で島内のイノシシやシカがほぼ全滅したことで役割を失い解体されるなどしたという。しかし近年、イノシシが再び増加し問題となっており、「(シシ垣が)今も機能していれば、山と里のすみ分けに役立ったはずだ」と話した。
 愛媛大の武山絵美准教授は、松山市島しょ部のイノシシ被害について解説した。海を泳ぐ目撃情報があり、人為的に持ち込まれた形跡がないことから、島から島へ海を泳いで移入したと考えられるという。被害はかんきつ類の食害や枝折れ、土の掘り返し、石垣破壊など「作物にとどまらず農地の損壊、さらには生活圏にまで及んでいる」と指摘した。