歓喜に沸く観客席に大きく両手を掲げて応えた。15日、松山市市坪西町のアクアパレットまつやま特設プールで行われた愛媛国体の競泳少年女子B100メートルバタフライ決勝を驚異の追い上げで制した平田美幸選手(16)=八幡浜高1年。幼いころからの悲願を達成した瞬間だった。
 2歳から水泳を始め、小学生のころからめきめきと頭角を現した。中学3年生にして次々と県記録を樹立。愛媛国体のターゲットエージ選手にも選ばれ、県内の若手のホープとして期待を集めてきた。インターハイや国際大会など数々の大舞台を経験しながらも、平田選手がいつも口にしていた言葉は「目標は愛媛国体優勝」だった。
 平田選手の夢を家族もサポートした。実家のある宇和島市から八幡浜高に通い、八幡浜市内の強豪クラブで水泳に打ち込む娘のために父親の延幸さん(48)は練習後、毎日車で迎えに行った。「水泳が好きで弱音を吐いたことがない」と努力の日々を間近に見ていたからこそ、「1位になった瞬間はうれしいというよりも安心した」と胸をなで下ろした。
 2位から大逆転した決勝レースをスタンドで見届けた後、延幸さんが「おつかれさま。優勝できて良かったね」とスマートフォンでメッセージを送ると、「地元の力が後半の泳ぎにつながった」と返信があった。「美幸はたくさんの人に支えてもらった。その恩返しができたのではないか」と感慨深げに語った。