ニイコンの父よ、安らかに―。3月に82歳で亡くなった伊瀬良一さんが団長として率いた新居浜混声合唱団の定期演奏会が15日、愛媛県新居浜市繁本町の市民文化センターであり、市民約460人が聞き入った。プログラム終了後、25人の団員が追悼の曲を歌い上げ、伊瀬さんに思いをはせた。
 伊瀬さんは1963年の団発足当初から所属した唯一のメンバーで、パートはテノールだった。「誰でも楽しく参加できる合唱団」を合言葉に、地元に根差した活動を続け、大ホールで観衆を呼べる一団に育て上げた。
 伊瀬さんをしのんで歌われたのは、合唱指揮者・作曲家の磯部俶さんが歌仲間を追悼するために作ったといわれる「君に捧(ささ)げる歌」。男声合唱のオリジナルを混声四部合唱に編曲、歌詞を柔らかくして清らかに歌い上げた。感極まった団員の姿もあった。
 今回の定期演奏会を結成55周年へのステップと位置づけ、準備と練習をしていたさなかの急逝だった。新団長の高橋妙子さん(66)は「この演奏会があったから団員は前に進めた。合唱のすそ野を広げようと、新たな試みに取り組もうとしていた伊瀬さんの遺志を継ぎたい」と気丈に語った。