愛媛県西条市出身の作曲家鈴木陽子さん(岡山市)の第10回作品展「父の残したもの」が19日、西条市丹原町田野上方の丹原文化会館であり、市民ら約150人が鈴木さんの父で旧小松町議だった伊藤隆志さん(故人)の詩と短歌を基に制作した曲や映画などを満喫した。
 鈴木さんは伊藤さんの長女として旧小松町で生まれた。小松高、広島大文学部を卒業。育児が落ち着いた後、パリのエコール・ノルマル音楽院と愛知県立芸術大大学院の作曲専攻課程を修了した。2013年からはドキュメンタリー映画の制作も手掛ける。
 作品展は、鈴木さんが主宰する音楽事務所が10年から京都市や大阪市などで開催。今回は、14年に90歳で亡くなった伊藤さんの郷里への思いを地元住民らに知ってもらい、自らのルーツを見つめ直そうと、愛媛で初めて開いた。
 会場では、鈴木さんが企画・制作したドキュメンタリー映画「父の残したもの」を上映。コンサートにはソプラノ歌手の太田真紀さん(大阪府出身)と作曲家でピアノ奏者の新垣隆さん(東京都出身)が出演し、石鎚山の形や空気感などを表現したピアノ曲「いしづち」や伊藤さんの育児詩集を基に制作した歌曲集「吾子(あこ)日々抄」など6曲を披露した。