例ない和製南蛮胴具足を発見 松山・東雲神社
旧松山藩主の久松松平家ゆかりの武具や甲冑(かっちゅう)などが奉納された東雲神社(愛媛県松山市丸之内)で、これまで類例のない「和製南蛮胴具足(なんばんどうぐそく)」が見つかった。前面の胴甲は6枚の鉄板を貼り合わせた特徴的な仕様で、東雲神社文化財調査会(会長・内田九州男愛媛大名誉教授)が確認した。
和製南蛮胴は輸入品の西洋甲冑を、日本の甲冑師が模作したもの。徳川家康が着用した国重要文化財「南蛮胴具足」(日光東照宮蔵)がよく知られ、全国に十数領が確認されているという。
東雲神社で確認された「金彩獅子枝菊和製南蛮胴具足」は、江戸時代前期の作と推定。胴甲には向かい合う2匹の獅子と盾の紋章が描かれ、西洋的な意匠が強くみられる。調査会の友沢明さん(日本武具甲冑研究保存会評議員)は「脇に(元となった)実物を置いていないと作れない」と指摘。西洋甲冑の装飾に見られる鉄の黒染めと金エッチングの技術が当時の日本になかったため、金彩と漆絵で代用したと考えられる。