北見市(北海道)に大賞 証明書申請を効率化 県募集 行革甲子園
全国の先進的で独創的な行革事例を発表する「行革甲子園2016」が1日、愛媛県松山市道後町2丁目のひめぎんホールであった。書類審査を通過した愛媛など8道府県の8市町がプレゼンテーションに臨み、住民票などの証明書申請を効率化した北海道北見市がグランプリに輝いた。
県が主催し3回目。優良事例を共有して活用してもらおうと初めて全国に応募を呼び掛け、47都道府県の110市町村から104事例が寄せられた。
北見市は、市民が用紙に記入する証明書の申請方法を改善。窓口で職員がシステムを活用して住所や申請内容を印字した用紙を市民に渡し、本人確認をした上で署名してもらう仕組みに変更したという。
総務課の及川慎太郎主任は、住民票や印鑑証明など複数の証明書を1枚の用紙で申請できるメリットがあるとし、「市民からは『書かなくていいの?』という反応がある。市民の滞在時間や職員の作業が減った」とアピールした。
愛媛からは松山市がプレゼンテーションし、中央浄化センターでの歳入増加策を紹介。下水汚泥の処理過程で発生する可燃性ガスを使って発電し、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の活用により年間約1億6700万円の収入があると説明した。
中村時広知事は「プレゼンテーションを通し、行革は前向きで楽しい仕事だと実感できた。全国に輪を広げ、挑戦し続けてほしい」と講評していた。
そのほかの発表事例は次の通り。(発表順)
【大阪府池田市】職員数が減る中、サービス水準を維持しようと総合窓口を民間に委託した。担当課の案内業務との切り分けで回転率が向上し市民の待ち時間が短縮。職員が計31人減少し年間約3600万円の財政効果があった。
【大分市】観光地である別府、由布両市と共同で公衆無線LANを整備した。調達事務を1市が主体的に担い、ランニングコストや事務量を大幅に削減。相互の観光PRにつなげた。九州の玄関口の福岡市とも認証連携している。
【京都市】学校跡地を活用する民間事業者の提案を募集した。「事業者登録制度」を創設し事業者の活用ニーズを事前に集約、住民の意向をプランに反映させた。跡地は日本初の「漢字ミュージアム」のほかホテルとして活用。
【福島県伊達市】「トヨタ生産方式」を導入した。市役所の全ての業務を洗い出して、業務量の多いところから改善。付加価値の高い仕事に職員を振り分ける「活人化」が可能になり、2015年度の財政効果は約5500万円。
【鹿児島県長島町】高校や大学を卒業後10年以内に戻ってくれば返済金を全額補塡(ほてん)する「ぶり奨学プログラム」を展開した。金融機関が制度設計に関与。企業などの寄付で行政負担が軽減し持続可能な仕組みになった。
【神奈川県葉山町】ごみ集積場所の不適切利用の解決のため、住民協働による比較実験や政策決定を行った。全ての町内会で分別チラシのポスティング、後出し防止の看板設置を検討。モニタリングで効果を検証し政策に取り入れた。