愛媛県四国中央市土居町野田出身の水墨画家、潮見冲天(本名・農=あつし)さん(75)の郷里で初めての個展が30日、同町入野の暁雨館で始まった。
 潮見さんは高校まで同市で過ごし、30代後半から水墨画を描いている。兵庫県宝塚市在住で、日本南画院理事長を務めるほか後進の育成や水墨画の普及に尽力している。
 今回の個展は、土居高校時代の同級生らでつくる実行委員会が主催。主に自然風景をテーマにした約40点を展示している。200号の「靄然(あいぜん)」は、もやに包まれた山中の風景を、もやの動きが見えるかのように描いた大作だ。
 潮見さんは「やはり故郷は空気が違い、心が洗われる。あらためて自分の原点だと感じる」と感無量の様子。「水墨画は墨の濃淡の助け合いともいわれ、それは人の道にも通じる。墨の表現は多岐にわたるが、描いていない『無』が表現しうる宇宙観も感じてほしい」と話していた。
 11月3日まで(月曜休館)。無料。