園児の劇、平和訴え40年 新居浜で発表会
戦争の悲惨さや平和の尊さを園児が自ら演じることで考える取り組みを、愛媛県新居浜市新須賀町3丁目の朝日保育園(合田史宣園長)が40年近く続けている。12月中旬に開かれた園の発表会では、戦時中、2頭の象を懸命に守り抜いた東山動物園(名古屋市)の史実を題材にした児童文学「ぞうれっしゃがやってきた」を、原作者の小出隆司さん(77)=名古屋市=を招いて上演し、命や平和の大切さを問い掛けた。
5、6歳児25人が演じた約30分の劇は元気な大合唱から一転、「動物を殺せ」と命令する軍人役の園児に「わが子のように育ててきた動物を殺せと言うんですか」。かみしめるように訴える園長役。4頭いた象のうち2頭は栄養失調で死ぬ。いまわの際の象が「どうして餌をくれないの? 私たちが悪いことをしたのかな」と悲しげに訴える姿や、子どもが戦火の中を逃げ惑う場面に、観客席からはすすり泣きが漏れた。
同保育園では76年から、戦時下を題材にした児童文学の演劇に取り組んできた。劇のラストシーンで歌われる合唱曲には、園児が「平和って何だろう」と保育士と考えた詩を添えた。
「ぼくたちのたいせつなもの/にんげんとどうぶつとむしたちのいのち(中略)/かぞくですごすこと(中略)/せんそうはにどとしてはいけないとおもいます/ぼくたちがおとなになるまで/(中略)どうかへいわなせかいをまもってください」