地球形成の謎に手がかり 鉄に水素が溶解様子観察に成功 東大の飯塚助教(元愛媛大)ら
東京大大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設の飯塚理子特任助教(研究当時は愛媛大地球深部ダイナミクス研究センター在籍)らの研究グループは13日、地球の形成初期に存在したと想定される物質を集めた試料を用い、固体の鉄に水素が取り込まれる様子の観察に成功したとする論文を英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。水素は地球の中心核の主成分である鉄に含まれると考えられる軽元素の一つ。水素が最初に鉄に溶け込んだ可能性を示しており、核形成の過程解明につながる成果としている。
飯塚特任助教によると、水素は高圧下でしか鉄に溶け込まず、エックス線など従来の実験法では観察が困難だった。今回の研究は、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設の超高圧中性子回折装置を使用。約4万気圧・約727度の高温高圧下にした試料(約1ミリメートル四方)に中性子を照射し、固体の鉄に水素が溶け込む様子を確認した。