家族の愛紡ぐ御殿飾りびな 孫誕生で三十数年ぶり登場
愛媛県新居浜市庄内町3丁目の会社員本藤和美さん(59)方で、「御殿飾り」と呼ばれるひな飾りが三十数年ぶりに登場した。屋根付き御殿の中におひなさまが鎮座する豪華なしつらえが近所の話題だ。
御殿飾りは木製2層楼で幅約1.2メートル、高さ約2メートル。赤や緑で塗られた屋根には金具の飾りがあしらわれ、お内裏さま、おひなさまと三人官女の部屋がある。欄間に彫刻も施されるなど細かい作りが目を引く。下には段飾りが設けられ、五人ばやしなどが並ぶ。
宇和先哲記念館(西予市)によると、御殿飾りは貴族文化へのあこがれを投影して御所を模したもので江戸末期に始まった。大正から昭和初期には主に関西で、板ぶきの豪華な御殿が流行したが、高度経済成長期の昭和30年代以後すたれた。