宇和海沿岸でかつて使われていた手こぎの漁船を愛媛県伊方町の水産会社が復元し、八幡浜市の造船会社で4日、進水式が行われた。約半年を費やし手作業で作り上げた木造の和船で、関係者は先人の苦労に思いをはせ、水産業の発展を祈念した。
 シラス(カタクチイワシの稚魚)の加工販売を手掛ける朝日共販(福島大朝社長)が、地元の歴史を伝えつつ観光振興の目玉にしようと発案。造船所探しは難航したが、1970年ごろまで木造船を手掛けていたという同市保内町川之石の木村造船に頼み込んだ。
 和船は、「福善(よし)丸」と命名。全長約13メートル、幅約3メートルで4丁のろを備える。棟梁(とうりょう)の徳弘正雄さん(76)らがスギやヒノキ、マツを丹念に加工し、緩やかな曲線が美しい船体に仕上げた。
 進水式後には、人力や漁船のえい航で朝日共販本社がある伊方町川之浜地区に移動。船は同社の敷地に展示する。