太平洋の潮の香りが漂う千葉県銚子市の銚子電鉄(銚電)仲ノ町駅に、1月に脱線事故を起こした2両編成の電車が静かに置かれている。2009年に伊予鉄道(愛媛県松山市)から購入した2編成のうちの1編成。「鉄路復帰」に必要な修復費用集めへ千葉県立銚子商業高校の生徒が立ち上がり、伊予鉄道関係者らも高校生のバックアップに動き始めた。
 支援に取り組むのは同校3年生のうち、課題研究の授業で銚電支援を選択した生徒。沿線の観光地図作成、イベント列車への協力などに加え、より直接的な資金集めへ採用したのがインターネットを通じて支援金を募るクラウドファンディング(CF)だ。
 銚電によると、修復や検査にかかる費用は約2千万円の見通しで、CFの目標は車輪交換に必要な300万円に設定。8月末に呼び掛けを始め、締め切りは11月2日。支援は一口3千~30万円。期限までに目標に届かないと無効になる。和泉君は「当初はものすごく不安だった」と振り返るが、10月6日に300万円を突破し「感激と感謝でいっぱい」とサイトにつづった。今も受け付けは続き上積みを目指す。
 賛同者には金額に応じて車両貸し切り、ヘッドプレートやつり革への広告などの特典がある。伊予鉄道や、この車両が最初に走った京王電鉄(東京)の関係者もプロジェクトの後押しへ「銚松動輪会」を結成。鉄道仲間のネットワークでCFへの支援を求める。
 銚子商高生が利用しているCFは「READYFOR?(レディーフォー)」で、アドレスhttps://readyfor.jp/projects/CHOSHO-CHODEN