江戸後期から明治期にかけて起こった猫ブームを浮世絵などで紹介する「いつだって猫展」(県、南海放送主催)が28日、愛媛県松山市堀之内の県美術館で始まった。さまざまな表情の猫を描いた作品を県内外の猫ファンらが楽しんでいる。11月6日まで。
 猫は弥生時代には日本にいたとされ、奈良、平安時代ごろは上流階級の希少なペットだった。江戸時代に入ると、ネズミ退治の益獣などとして庶民の生活に溶け込み、魔よけや招福の縁起物として猫をデザインした札や置物なども盛んに作られた。
 会場には、無類の猫好きでブームの立役者となった歌川国芳らの浮世絵や、民俗資料計209点を展示。ライバルであるネズミとの合戦模様や歌舞伎で人気だった「化け猫もの」の一場面のほか女性に寄り添う姿など、ユニークな作品が並び、往時の人たちの猫への愛情を伝えている。
 愛媛を旅行中に訪れた京都府の女性(39)は「猫と国芳が大好きで駆けつけた。猫を見る視点や表現は現代にも通じ、面白い。猫もの雑貨を作るのが仕事なので、生かしたい」と話した。
 期間中、同館学芸員による土曜講座(10月8日、22日)などもある。