楠本イネの卯之町滞在裏付け 新史料の手紙発見
愛媛県西予市などは16日、日本初の産科女医、楠本イネ(1827~1903年)が、18歳の時に同市宇和町卯之町に約7カ月間滞在していたことを示す新史料が見つかったと発表した。イネの母タキがシーボルトへ送った手紙をシーボルト研究者の石山禎一さん(79)=相模原市=が読み解いた。イネは13~18歳の5年間、医学を志して卯之町にいたとされてきたが、公文書などの記録はなかった。西予市は「(新史料は)定説を大きく改める」としている。
市などによると、手紙は1845年11月1日付。オランダ語で表記され、タキが口答したものを通訳者が記述したとみられる。手紙には「45年2月におイネは伊予国へ1人で旅立ちました。その国はあなた様の門人二宮敬作がおります」とあり、続けて「備前国の(産科医師の)石井宗謙に会いに行き、確か60日滞在している」と書かれていることから、45年2月ごろから約7カ月間、卯之町にいたことがうかがえるとしている。