約50年ぶりの大学獣医学部新設に向けた国の議論が本格化している。11月9日の国家戦略特区諮問会議で安倍晋三首相が新設を原則認めない現行制度の見直しを表明し、内閣府が2018年度の設置特例に対する意見を募集中。獣医学部の誘致活動を続けてきた愛媛県今治市が「有力候補地」(県関係国会議員)だ。
 市によると、経済効果や人口減対策を期待し1975年、学園都市構想による大学誘致の話が持ち上がった。2007年ごろ中国地方の学校法人が獣医学部新設に興味を示し、市は獣医学部に絞り込んだ。志願倍率が高く、学生が集まりやすいとの期待もあった。
 文部科学省は質の確保を理由に、医師や獣医師などを養成する大学の設置・定員増を制限しており、市は07年から公務員獣医師の確保を目指す県と共に、構造改革特区を利用する獣医学部の誘致を15回にわたり国に提案してきた。