短歌への思い深める 松山で子規顕彰全国短歌大会 愛好家集う
正岡子規の顕彰と短歌の普及を目指す第34回子規顕彰全国短歌大会(松山市教育委員会主催)が23日、愛媛県松山市道後公園の市立子規記念博物館であり、県内外の愛好家が記念講演や歌評を楽しんだ。
月刊誌「新アララギ」選者の倉林美千子さんが、発表から110周年を迎えた歌人伊藤左千夫の小説「野菊の墓」に焦点を当て講演。同作は、子規に師事した伊藤が子規没後の明治39年(1906年)に俳誌「ホトトギス」に発表した。
倉林さんは「48歳で生涯を終えた左千夫にとっては晩年に近い年だったが、評判が非常によく運命を変えた作品。後のアララギの発展の起源にもなった」と紹介。「この頃から左千夫らしい作品をつくるようになり、宗教詩や短歌、長歌などにも懸命に取り組んでいた」と、あまり知られていない創作活動の幅広さなどを伝えた。
また、応募のあった国内外618人の短歌1435首の中から選ばれた各賞の表彰もあり、新設された最高賞の文部科学大臣賞に北村節子さん(香川県)の「てのひらのくぼみは優しき器なり君が摘み来しトマトをのせる」が輝いた。