NPO法人西条自然学校や日本野鳥の会の有志が今夏、石鎚、赤石両山系の登山道5区間で県鳥のコマドリの個体数を調べたところ、確認できたのは約20年前の7~40%だったことが分かった。原因は不明だが、個体数が大幅に減少している可能性があり、関係者は懸念している。
 自然学校などによると、コマドリは中国南部で越冬し、4月下旬~10月ごろ日本全国で見られる。愛媛県内では石鎚山系を中心に標高1300メートル以上の自然林に生息し、ササなどが覆う地上で繁殖するという。
 調査区間は、伊予富士―瓶ケ森(約6.5キロ)▽瓶ケ森―土小屋(約9キロ)▽土小屋―石鎚山山頂(約3.7キロ)▽笹倉(さぞう、約3キロ)▽東赤石(約9キロ)。コマドリ繁殖期の今年6~7月、登山道を歩く間に聞こえたさえずりの回数を数えたところ、1~4回だった。
 同法人理事長で日本野鳥の会愛媛代表の山本貴仁さんは、減少の原因として、越冬地での異変▽密猟▽増加するニホンザルに卵などを食べられる-といった可能性を挙げるが、「コマドリの生息する環境は大きく変わっておらず、明確な原因は分からない」。増加傾向のニホンジカにササが食べられると、さらに減る恐れもあると話す。「全国でコマドリが減っていれば越冬地、そうでなければ県内の繁殖地に問題がある可能性が高い」としており、16年度以降も石鎚山系で未調査の山域を調べる考え。