愛媛県内の県立高校で唯一「福祉系高校」の認定を受けている川之石高校(八幡浜市保内町川之石)の生徒が、伊方町の「佐田岬マラソン大会」に参加する視覚障害者の伴走ボランティアに挑戦する。生徒は11月13日の本番を前に、入念な準備を進めている。
 大会に参加するのは、5月の「佐田岬ふるさとウオーク」で大洲市社会福祉協議会職員のサポートを受け最長の46.5キロを踏破した亀井慎太郎さん(47)=大洲市中村。今回はフルマラソンの10分の1となる4.219キロのデシマラソンに挑戦する。同社協の松本雄一さん(33)がフェイスブックで伴走ボランティアを募集し、川之石高卒業生の紹介で福祉サービス系列の生徒ら9人に決まった。
 運動部や校内マラソン大会上位者から選抜した2、3年生が、伴走やペースメーカーなどの役割を分担。生徒は松山盲学校で伴走のこつを学び、アイマスクを着けた生徒とグラウンドを走るなど、授業や放課後に練習を重ねてきた。
 19日には川之石高で亀井さんと合同練習を実施。速く走り過ぎてしまう亀井さんに、輪状のひもを携え伴走する2年大平将也さん(16)は「もっとゆっくり」「少し右に」などと声を掛け、歩幅を合わせた。24日には実際のコースで起伏などを確認した。
 大平さんは「見える範囲の情報はどんな小さなことも伝え、安心してもらいたい」と意気込み、ペースメーカーの2年上岡由佳さん(17)は「安全を考慮し、ゆっくりのペースを心掛けたい」と話す。村上典子教諭は「授業で視覚障害者の歩行介助は学ぶが、マラソン伴走は初めて。生徒にも良い経験になる」としている。
 亀井さんは「伴走ボランティアは本当に貴重な存在で感謝している。安全に楽しく走り切りたい」と話している。