企業の高い採用意欲を背景に、2016年春卒業の愛媛県内学生の就職活動は堅調に推移した。一方、すでに会社説明会などが始まっている来春学卒予定者の就職戦線。高水準の求人動向は続く見通しだが、就職活動期間は短期化しており、学生や学校は対応に懸命だ。
 3月の有効求人倍率が過去最高になったことと合わせて、愛媛労働局が4月27日に発表した今春学卒者の就職状況。大学生の決定率(3月時点)は過去10年間で3番目に高い94.2%を記録した。08年のリーマン・ショック以降、氷河期もあったが、同局は「ここに来て企業の採用意欲が高まっている。過去と比較しても遜色ない状況」と評価する。
 就職希望者が6.6%増加した高校生の決定率は98.9%で、前年同期並みの水準を維持。同局は「優良な求人があるため就職を遅らせず、早く社会に出る人が増えたのでは」とする。就職率100%を達成した松山商業高校の進路担当者によると、この3年間は毎年1.5倍ずつ学校への求人が増えているという。
 好調ともいえる15年度の就職戦線は、大学生の採用日程が大幅に変更された点でも注目された。経団連は学業への影響に考慮し、従来より3カ月遅い3月に就職活動の解禁時期を変更。しかし、選考活動の解禁以前にも面接などを行う企業もあり、就職活動は長期化した。松山大キャリアセンター事務部の世良静弘部長は「学生・企業双方に良くなかった印象」と振り返る。
 「今までの就活のプロセスが崩れた」と指摘するのは愛媛大就職支援課の岡靖子課長。前例のない活動日程に学生はもちろん企業も戸惑った印象だという。
 かたや、すでに本格化している大学生の16年度就職活動。企業の求人動向は15年度と同じく高水準で推移し、「売り手市場」が続くとの見方が広がる。