2012年7月に愛媛県西条市中奥の増水した加茂川で、西条市の私立幼稚園のお泊まり保育中に吉川慎之介ちゃん=当時(5)=が流され死亡し、園児2人がけがをした事故で、原因究明や再発防止のために遺族らが設立した調査委員会は21日、西条市と県に調査報告書を提出した。
 報告書では、園の行事に際しては子どもの成長段階や安全に考慮し、保護者らの意見を取り入れた柔軟な計画を立てる必要があるとしたほか、各園の主体性が尊重される一方で規模の差が大きい私立幼稚園では、行政が各園の事故防止活動を支援する体制づくりも課題などと提言した。
 調査委員長で京都精華大の住友剛教授(46)=教育学=は、事故の背景には、過密スケジュール▽浮輪やライフジャケットの準備不足▽過去に事故がなかったことからの過信―などがあったと説明。慎之介ちゃんの父豊さん(45)は「未来の子どもたちの安全を守る啓発のために報告書を役立てたい」と話した。