障害乗り越え光る技 アビリンピック県勢躍進 村野さん金賞
第36回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)がこのほど、山形県で開かれ、愛媛勢では機械CAD種目の村野太一さん(42)=三浦工業=が金賞を受賞した。洋裁種目の山田美里さん(18)=県立松山聾学校=と、オフィスアシスタント種目の小池夏海さん(18)=県立みなら特別支援学校=も銀賞を獲得するなど大舞台で躍進した。
「いける」―。機械CAD種目で金賞を受賞した三浦工業の村野太一さん(42)は課題を見た時、直感したという。
アビリンピックに初めて出場したのは2009年の第31回大会。以来、日々の仕事で確かな技術を培い、5回目の挑戦でついにトップの座をたぐり寄せた。
組み立て図や部品図を読み取って「コンピューター利用設計システム(CAD)」で精密な加工指示を図面に盛り込む機械CADを始めたのは、三浦工業に転職した05年から。CADの操作は「ゲーム感覚で覚えられた」といい、第33回大会で銀賞、第32、35回大会で銅賞を獲得した。ただ、金賞にはあと一歩届かなかった。
競技としての機械CADは普段の仕事と作業内容は近いが、約3時間でA2サイズの図面を仕上げるという「シビアな時間設定」の壁がある。さらに、会社では取り扱っていない部品も出てくるため、プラスアルファの勉強が必要だった。
今回の大会に向け、休日に職場での練習を認めるなど、会社もバックアップ。満を持して臨んだ本番では、全国の代表9人の中で最も早く仕上げ、満足の仕上がりで席を立った。
結果は審査員も太鼓判の金賞。100点換算で97点の高得点だった。
次の目標は世界大会出場だ。出場権を懸けた大会は18年に開かれる予定で「今は日々の業務を正確にやるだけ。今までもそうだった」。その言葉には、自分の技術とさらなる飛躍への自信が満ちている。