新しい年が幸多き年になりますように―。愛媛県西条市丹原町古田の西山興隆寺で12月31日深夜から1日未明にかけ、国指定重要文化財(重文)の銅鐘が26年ぶりに除夜の鐘として突かれた。市内外の参拝客が由緒ある鐘の響きに耳を傾けながら、すがすがしい気持ちで新年を迎えた。
 寺などによると、重文の鐘は高さ約112センチ、口径約68センチで、鎌倉時代の1286年に河内国(現在の大阪府)の鋳物師(いもじ)によって鋳造された。寺は1988年に新しい鐘と取り換え、宝物館に展示していたが、2016年春の55年ぶりの本尊開帳を前に、寺のある西山を清めようと鐘楼堂につり下げた。
 31日は雪がちらつく中、午後11時40分ごろに荒井浩忍住職(63)が1回目を突き、参拝客約70人や寺関係者が思い思いの願いを込めながら後に続いた。