つながった、5300人の笑顔―。愛媛県鬼北町近永のカメラ店が東日本大震災の被災者を元気づけようと撮り続けた写真と、それに応えた福島市民らの写真が初めて一堂にそろった展示会が16日、同町近永の街角ギャラリー「なんでも館」で始まった。10月19日まで。
 店主だった故加賀城孝さん(享年55)が被災者に「決して一人じゃない」ことを伝えたいと2012年5月から、鬼北町民らが笑顔で手をつなぐポーズを撮り続けていたが、同9月に事故で急逝した。妻の嗣子さん(54)が遺志を継ぎ、今春には福島市で約2100人の写真をお披露目。その際に知り合った同市のアマチュアカメラマン矢口洋子さん(70)が、お返しにと被災者約3千人の「写真の輪」を撮影し、鬼北町に届けた。福島分は6月にカメラ店で展示されていたが、鬼北分が今夏に愛媛に戻ってきたため、両方がそろった展示となった。
 鬼北と福島をつなぐ写真展「絆の輪(和)」には、最近の撮影分も含め満面の笑みで写る家族や、「ありがとう」とメッセージが添えられた被災者の姿などがびっしり。一人一人の思いが会場を埋め尽くした。
 23日には、矢口さんが現地コーディネーターを務めた、東日本大震災1年後の福島を追ったドキュメンタリー映画の上映会を同町近永の近永公民館で開く。問い合わせは近永カメラ=電話0895(45)0053。