地震などによる海底の地殻変動の継続的な観測と津波の迅速な検知を目的に、東京大地震研究所や弓削商船高等専門学校(愛媛県上島町)など国内6研究機関は24日、高知県足摺岬沖で衛星利用測位システム(GPS)などを搭載したブイによる研究を始めたと発表した。
 海底地殻変動は、海底に複数の装置を置き、ブイまでの音の速さとGPSを組み合わせて計測する。これまで行っていた船舶での調査は年に数回が限度だったが、ブイの利用で連続観測が可能となる。南海トラフなどから沈み込む海洋プレートの研究など地震の発生メカニズムの解明につながる可能性もあるという。
 今回の研究では、さらなる高精度化を目的に、ブイの揺れなどによる欠測を抑えるためのデータを収集。将来的に西太平洋全域に多数のブイを置くケースを想定し、衛星の仕様も研究する。
 海底地殻変動、津波計のデータは、衛星経由で高知県仁淀川町の基地局に送られ、インターネットでリアルタイムで公開する予定。
 弓削商船高専は、練習船弓削丸を活用し、ブイの揺れに関する船上実験や海底地殻変動観測に必要な海水の温度や塩分濃度などのデータを収集する。研究は20年度まで5年間実施。ブイは高知県が設置しているものを借り受ける。
 弓削商船高専で会見した東京大地震研究所の加藤照之教授は「研究が成功すれば、総合的な防災システムの構築が期待できる」としている。