伊予市の特急死亡事故受け、現場踏切の廃止検討
愛媛県伊予市下三谷のJR予讃線の踏切(警報機なし、手動式遮断棒)で7日に市内の農業の男性(73)が特急列車にはねられ死亡した事故で、JR四国が現場の宮地踏切の廃止を検討していることが27日、分かった。JR四国は9月下旬に住民説明会を予定しており「住民の理解を得て廃止の方向で進めたい」としている。
伊予署などによると、事故は、列車運転士が踏切内の男性に気付いて非常停止しようとしたが間に合わず、衝突する形で起きた。署と運輸安全委員会が調査したが、現段階で事故原因は分かっていない。
宮地踏切の周囲には田んぼが広がり、地元区長(74)の説明では、地域住民が農作業でよく利用する「生活道」となっている。JR四国は、同社が発足した1987年以降、現場では事故はないとする。
警報機がなく、手動で遮断棒を押し上げる宮地踏切は第4種踏切に分類される。JR四国によると、事故の可能性が比較的高く、同社は国の方針などに基づいて統廃合を進めるが、地元の反対などで難航するケースもあり、管内には現在も約100カ所が現存。宮地踏切も2004年に廃止が検討されたが、取りやめになっていた。
JR四国は市などと事故防止策を協議中で、住民に事故や第4種踏切などについて説明し、対応を検討する方針だ。
住民には廃止案に反対する声があり、地元区長は「事故原因を究明し、草刈りなどで視界を良くするなどの安全対策が先だ」と強調。廃止されれば最寄りの踏切は約120メートル南西の下三谷踏切(警報機、遮断機あり)となり、地元区長は「(下三谷踏切まで)重い農具を持って回るのは難しい」と話した。