愛媛県の今治、上島両市町教育委員会は28日、2016年度から公立中学校で使用する教科書をそれぞれ採択した。上島は歴史、公民とも前回と同様「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社版。今治は歴史、公民とも前回の育鵬社版から東京書籍版に変更した。
 今治市教委(西原透委員長、5人)は臨時会で公開審議。教員や保護者らでつくる市教科用図書選定委員会の報告書を踏まえ、歴史、公民とも東京書籍版と育鵬社版を推す声があり、挙手で採決した結果、歴史は3対2、公民は4対1で東京書籍版に決まった。
 東京書籍版を推した委員は歴史について「多面的な考察ができ、年表に沿って系統的に学べる」、公民は「ディスカッションやリポート作成の仕組みがあり、将来生かせる内容」などと評価。高橋実樹教育長は選定委の報告などに基づき、いずれも東京書籍版の採択を求めた。
 上島町教委(岡野英二委員長、5人)は臨時会で公開審議し歴史、公民とも育鵬社版を全会一致で採択した。町民2人が傍聴した。
 教員や保護者らでつくる町教科用図書選定委員会(10人)は、歴史は東京書籍▽教育出版▽日本文教出版▽育鵬社、公民は東京書籍▽帝国書院▽日本文教出版▽育鵬社―を優劣を付けずに提案していた。
 委員からは育鵬社版の歴史教科書について「歴史は流れが重要であり、ストーリー的な要素を踏まえている。歴史上の人物もたくさん記載されている」「(選定委が提案した4教科書の記述の意味は)どれもそう変わらない。今使っている教科書が悪いなどといった意見は学校から聞いておらず、このままでいい気がする」などの意見が出た。